自分の出身県は自慢したいもの。だが、とかく自虐的にならざるを得ないものもある。ここでは東海地方の人々の自虐を紹介しよう。
【静岡県】〈住みたい県なのに人口流出が止まらない!〉
気候にも交通アクセスにも恵まれた静岡県はNHK調査の「住みたい都道府県ランキング」(2008年)で堂々の2位。ところが外からの評判とは裏腹に深刻な「人口流出」に悩まされている。総務省「人口移動報告」(2014年)によると、転出者が転入者を7240人も上回っており、2年連続で全国ワースト2位となった。
「確かに平穏で暮らしやすいけど、それは“刺激のない県”ということ。東京、横浜といった大都市に新幹線ですぐ行けてしまうから、若者は簡単に飛び出してしまう」(静岡市の60代女性)
【愛知県】〈「名古屋飛ばし」に今日もため息〉
名古屋といえば、東京、大阪に続く第3の大都市。しかし、愛知県民からはこんな嘆きの声が漏れる。
「東京と大阪の間にあり、いつも素通りされる“名古屋飛ばし”で、県民は何度もプライドをズタズタにされてきた」(50代男性)
1992年、東海道新幹線「のぞみ」の運転開始に際し、朝一番の列車が名古屋駅を通過するダイヤが組まれ、愛知県では大ブーイングが巻き起こった。それ以前にも、1987年にマドンナとマイケル・ジャクソンの初来日コンサートツアーで名古屋を飛ばされた。近年もイケアなど大型商業施設でも名古屋は出店を後回しにされてきた。
「今年4月のポール・マッカートニーのツアーでも名古屋はやはり素通りでした……」(同前)
【三重県】〈天むすも味噌カツも名古屋にとられた〉
名古屋名物として有名な天むすは、津市にある「千寿」が発祥の店として知られている。また味噌カツも同市内の「カインドコックの店 カトレア」という洋食店で1965年頃考案されたという説が根強い。どちらも三重県民からよく聞く話だが、「オリジナル説」を主張すればするほど発信力が弱いことを痛感してしまうのは寂しい限り。
※週刊ポスト2015年7月17・24日号