7月5日にスタートしたドラマ『デスノート』(日本テレビ系)は、平均視聴率16.9%と、今年の民放ドラマの第1話としては最高視聴率をマークした。この好発進で俄然注目を集めているのが、主演の窪田正孝(26)だ。今夏は特別ドラマ含めて3本のドラマに出演するなど、今まさに旬の俳優である。視聴者を惹きつける彼の魅力はいったいどこにあるのか。イケメン評論家の沖直実さんに語ってもらった。
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窪田正孝さんの知名度が一気に上がったのは、昨年出演したNHKの朝の連続テレビ小説『花子とアン』だといわれています。確かにその通りではあるのですが、それ以前から主演クラスの作品はいくつもあったので、すでに役者としての評価は高く、イケメン好きの女子たちの間ではブレイクしていました。彼の魅力は、何といっても「ギャップの宝庫」と呼べるくらいのギャップの多さです。女子は彼のようなギャップのある男子が大好きなんです。
まず挙げられるのが、表情のギャップです。真顔の時は物静かな青年といった感じですが、笑うと目尻にシワができたり八重歯が見えたりして、途端にかわいらしくなる。真顔と笑顔のギャップが大きくて、それを見た女子はキュンとしてしまうんです。
その上、喉仏が色っぽかったり、脱いだらすごい体だったりします。線の細い体に見えますが、実は“細マッチョ”。少し前に「佐川男子」が脚光を浴びたように、最近は草食系男子ではなく、筋肉質の男子が人気の傾向にあります。西島秀俊さんも、甘いマスクでありながらマッチョというギャップがありますよね。西島さんが40代代表のマッチョ俳優だとしたら、窪田さんは20代代表の一人と呼べるのではないでしょうか。
もちろん見た目だけではありません。窪田さんはただのイケメン俳優ではなく、演技派俳優としても注目されています。気弱な学生、性同一性障害者、刑事、殺人犯、どんな役もこなしてしまう。無色透明の状態からどんな色にも染まることができるので私は「カメレオン俳優」と呼んでいますが、これはある意味、窪田さんが自分でギャップを作りだしているともいえます。
先日初回が放送されたドラマ版『デスノート』は、アイドル好きの普通の大学生が、デスノートを手にしてから殺人者・キラに変わっていくという設定です。同じ役でも第1話の前半と後半でキャラクターに大きなギャップがありましたが、殺人者へ変わっていく過程をうまく演じていました。昨年放送されたドラマ『Nのために』(TBS系)でも、同一人物の社会人役と10年前の高校生役を、髪形などをほとんど変えずに演技で演じ分けていたので、改めて演技力の高さを思い知らされた形です。『デスノート』の原作が大人気漫画であるということ、そして映画版で藤原竜也さんが主役を務めていたことを考えると、相当なプレッシャーがあったと思いますが、第1話を見た限りではそれを見事にはねのけたといえるのではないでしょうか。
記者会見など演技以外の場所では、優しい声をしていて、どちらかというと自信がなさそうな今どきの青年に映ります。でも演技に入るとその役に入り込む。普段の姿と役の間にもギャップがあります。プライベートでは、女優の多部未華子さんとの熱愛報道がありましたが、これがマイナスになることはないでしょう。多部さんは女の子に人気のある女優さんなので、窪田さんの好感度も逆に上がったんじゃないかと思います。
俳優になる前は自動車整備士を目指していたという窪田さんが、もともと俳優業界にいたわけでもないのにこれだけ細かい演技ができるのというのは、天性のものがあるのでしょう。まだまだ伸びシロがある上に、本人がまだ自分の魅力に気付いてなそうなところも新鮮でいいですよね。いろんなことを貪欲に吸収していくので、これからも見るたびに新しい窪田正孝という俳優を発見することができると思います。今見ていてもっともワクワクする俳優さんの一人ですが、私が個人的に楽しみにしているのは、窪田さんが30代になってから。大人の色気が出てきた彼がどんな演技をしてくれるのか、今から楽しみでなりません。