世界ランキング4位となった錦織圭の活躍により、テニスへの注目が高まっている。錦織のように子どものころからプロを目指してテニスに取り組むには、どのくらいの費用を覚悟せねばならないのか。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。
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錦織圭の活躍によって、ジュニア世代に大きな注目が集まっているのがテニスだ。小中学生は民間のテニスクラブに通うケースがほとんどで、その月謝はプライベートレッスン代を含めて3万円ほど。年間にかかる費用も約200万円から300万円とやはり高額になる。
先日、松岡修造と日本テニス協会が12歳以下の有望選手を集めて行う合宿「修造チャレンジ」を取材する機会があった。選手に帯同していたクラブのコーチに話を聞いた。
「今、プロテニスプレーヤーを夢見ている小学生は、錦織選手も参加した修造チャレンジに選ばれることをまず目標にし、次に盛田正明テニスファンド(*注)の支援を得て、世界的エリート養成組織であるIMGアカデミー(本部・米国フロリダ州)へ留学することを視野に入れています」
【*注:ソニー創業者のひとり、盛田昭夫氏の実弟にあたる盛田正明氏は、これまで10代前半の才能に恵まれたテニス選手を発掘し、年に数名ほど、IMGアカデミーへと送り出してきた。そのうちのひとりが錦織である】
アスリート支援財団に親たちが殺到するのも、自費でIMGに留学すれば膨大な費用がかかるからだ。
完全な個人負担だと、年間に1000万円はかかるといわれる。だが、どんなコーチが担当するかは渡米するまでわからず、また2年の契約期間の間に、芽が出なければ強制的に帰国させられるケースもある。成功を掴めるのはほんの一握り。IMGにはゴルフのアカデミーもあり、出身者のひとりに男子ツアーで活躍するプロゴルファーの今平周吾がいる。
「当時、6人の日本人がいましたが、その後、プロになった選手はいません」(今平)
※SAPIO2015年8月号