〈文仁 (夫や親としての自己評価は)私の場合には限りなくボーダーラインに近い「可」といったところでしょうか。
紀子 私も仲良く「可」にいたします。いろいろな可能性を秘めている「可」ということでいかがでしょうか。〉
6月29日、結婚25周年を迎えた秋篠宮夫妻が結婚生活を振り返る対談形式の感想を発表した。全文は400字詰原稿用紙19枚分に相当し、出会いから現在までを回想するユーモア溢れるやり取りは、そのまま皇室の30年を描き出している。
皇室ジャーナリストの久能靖氏が語る。
「秋篠宮ご夫妻は、自然なかたちで国民に思いを伝えたかったのでしょう。ほのぼのとしつつ、ご夫妻の強い絆と皇族としての決意が表われた文書です」
若くして結婚した秋篠宮夫妻は年齢的な衰えを率直に明かす。
〈文仁 いっぽう、フィジカルな面は劣化していますね。走り回ることについては、佳子が小学生のときにリタイアしてしまいましたが、最近不便に感じているのが老眼。〉
〈紀子 私も小さい字が急に見えにくくなりました。また、疲れたとき、回復する時間が以前に比べてかかるようになりました。〉
今や天皇・皇后の年齢は80代となっており、公務の継承問題が皇室の重大なテーマとなるなか、夫婦対談で秋篠宮は公務に対する思いを綴った。
〈皇族には国事行為の臨時代行以外に公務は存在しません。あくまで公的な行為もしくは活動であり、言葉としてきちんと区別するべきものと考えます。そのような公的な仕事は、公務と異なりある程度自分の裁量で取捨選択ができてしまう。そのようなことから、声をかけていただき、それらが適当と判断されたものについては、できるだけ応えるよう心がけてはいます。〉
この発言は東日本大震災などの被災地を巡幸し、今年4月のパラオ訪問など慰霊の旅を続ける天皇・皇后の姿勢を受け継ぐ決意と受け取められる。 その決意をさらに深めていくことを示すように、対談はこう結ばれている。
〈文仁 おたがい改善点が多いということですね。「良」や「優」は、今後の努力目標とすることにしましょう。
紀子 はい。これからも、可能性を大事にしつつ、努力目標にむけて一緒に年を重ねていくことができれば幸せに思います。〉
※週刊ポスト2015年7月17・24日号