国際情報

中国の貧困家庭で深刻化する留守児童問題 両親と断絶状態も

 貧困問題は、経済成長著しい中国でも深刻だ。現地の情勢に詳しい拓殖大学教授の富坂聡氏が指摘する。

 * * *
 今年6月初旬、両親が出稼ぎのため家を空けていた貴州省の貧困家庭で、兄弟4人が農薬を飲んで自殺するというニュースが中国社会に衝撃を与えた。

 一家の生活を支えるため夫婦そろって家を空ける子供たちの問題、いわゆる留守児童問題はかねてから社会の抱える大きな問題とされてきた。今回、子供たちが自ら命を絶ち、さらに生きることを拒否するような遺書を残したことであらためて大きな注目を浴びることとなったのである。

 事件以降、中国のメディアでは発展から取り残された内陸部の貧困地域を紹介する記事が続々と掲載されるようになった。

 6月18日付『中国新聞ネット』の記事もその一つだ。タイトルは、〈白書が明らかに 1000万人近い中国の留守児童は年間一度も両親に会えない〉だった。

 記事の中身は、中国の公益組織「上学路上(ストリート・スクール)」が18日に公表した「中国留守児童の心理状況白書2015」をうけて、タイトルのような事実を詳細に報じたものだ。

 1054人の留守児童を実際に訊ねて行った調査から、約3割の児童が年間1回から2回、約15%の児童は年間を通して一度も両親とは合っていないという結果が導き出された。現在推計される全国の留守児童約6100万人にこれを当てはめ、〈1000万人近い中国の留守児童は年間一度も両親に会えない〉と推測したのだ。

 同じように6月22日付の『新華ネット』は、貧困地域の生活調査レポートとして、〈新華社が最貧困地域をレポート、人間と家畜が同居、肉食は年間約3回〉というタイトルの記事を掲載している。

 また、香港紙『新報』が6月26日付で報じた記事によると、こうした貧困の村では嫁不足が慢性的な問題としてあり、近親間での結婚が日常的に行なわれているという。なんとも悲しくなる話だ。

関連キーワード

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン