フジテレビが世界文化遺産登録の決まった長崎・軍艦島を特集した番組の配信を始めるなど、4Kテレビ対応のコンテンツは急速に増え始めている。4Kの最大の売りはもちろん「高画質」。
長引く消費低迷に悩む家電メーカーや低視聴率に苦しむテレビ局にとっては福音だが、撮影現場ではなぜか悲鳴が上がっていた。
「従来のテレビとの最大の違いは、“奥行き”と呼ばれる遠くの映像が鮮明になることです。例えば、サバンナの映像などでは、数百メートル先を歩く動物の表情まで見えてしまうほど。
ですから4Kでドラマを撮影する際には、背景のセットに手を抜けません。街頭インタビューでは、通行人の顔などのプライバシーに配慮してボカシだらけになってしまうかもしれない」(テレビ局関係者)
そして、この影響をモロに受けるのが、「美」を商売道具とする女優や女子アナたちだという。
「4Kなら顔のシワや毛穴、くすみまでハッキリ映し出します。すでにネット上では4K画像を拡大して、女優の“肌の検証”が行なわれている。
ハイビジョン移行の際も“シワ問題”が話題になりましたが、今回はより鮮明な画質なため大騒動となっているんです」(前出・テレビ局関係者)
最近では、映画『海街diary』のイベントに出演した広瀬すず(17)が“標的”にされた。広瀬の映像をアップにした画像写真とともに、
《鼻の下の毛やアゴの産毛が気になる》
《鼻の毛穴の黒ずみがあるね》
など、“4Kウオッチャー”たちの書き込みが相次いだのだ。もちろん今をときめく新進女優の広瀬の美しさは誰もが認めるところだが、4Kはその美肌さえもハイテクの力で“丸裸”にしてしまうようだ。あるドラマ制作スタッフが嘆く。
「ドラマ撮影現場では、女優さんの肌をキレイに見せるために照明やレフ板などで工夫する“4K対応”が急ピッチで進められています。
例えば大物女優Yさんの場合、事務所から“必ずこの角度でレフ板を当てて”などと細かく注文が入る。
ただ生放送では、そんな工夫もできないから大変です。特に困るのは情報番組に生出演する番宣。ドラマ撮影中はタイトスケジュールになるので、女優さんの肌は荒れがちです。それでも宣伝のために出演しなければならない。
その際には事務所から“アップは絶対にNG”と言われる。人によっては生放送の番組出演に難色を示す女優さんもいるほどです」
NHKの朝ドラ『あまちゃん』でのベテラン海女役などの好演が光る実力派女優・美保純(54)は、親しいスタッフに「4Kテレビは、私らの年代の女優の敵だ!」とこぼしているという。
※週刊ポスト2015年7月31日号