自民党には「雑巾がけ」と呼ばれる長い修業時代がある。これまでの総裁の多くも、そうした下積み時代を経て「保守政治家」として成長してきた。
そんな自民党歴代総裁の素顔を35年にわたって撮り続けたのが、自民党初代写真室長の岡崎勝久氏(70)である。岡崎氏のカメラは、いずれも報道写真にはない歴代総裁の人間臭い一瞬を捉えている。
たとえば、現総裁の安倍晋三氏。2004年の幹事長時代に初代党改革実行本部長就任に際し、そこに掲げる看板に文字を入れた。岡崎氏が当時のエピソードを語る。
「ひとりで部屋にこもって2時間練習をされ、完成した書です。このときの看板はいまも同本部に掲げられています」
岡崎氏の新刊『保守の肖像 自民党総裁六十年史』(文・常井健一、小学館刊)では、ここで紹介した安倍氏の写真を始めとする、歴代自民党総裁の素顔が活き活きと描き出されている。政界のスターダムに上り詰めていった人物の顔から、何を読み取ることができるか。
写真■岡崎勝久(自民党初代写真室長)
※週刊ポスト2015年7月31日号