近ごろの韓国はあからさまに日本に歩み寄り始めている。だが、韓国人ブロガーのシンシアリー氏は、「韓国が突然『日本に学べ』と言い出した背景には“裏”がある」と指摘する。
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最近、韓国が「日本に学べ」と主張したケースを考察してみよう。
今春の安倍総理による訪米が成功し、日米防衛協力指針が大幅に格上げされると、韓国の有力マスコミは朴槿恵大統領の対日外交を「頑固すぎて間違っていた」とこぞって批判し、「日本外交はすごい」「安倍外交の勝利だ」という論調まで聞こえるようになった。それはまるで、「外交の敗北は大統領のせいだ」「私たちマスコミは賢いのに、大統領は無能だ」とアピールするかのようだった。
断言するが、それをいうならマスコミも共犯だ。対米外交を「外交戦」と称して、「もっと強く日本を叩くべきだ」と強硬路線を煽ったのは、他ならぬマスコミだからだ。
ところが、彼らは自分たちの責任には一切触れなかった。安倍外交の成功を称賛し、返す刀で朴槿恵大統領にすべての責任を押しつけ、自らの失態を覆い隠している。
アベノミクスの評価もこれと同じ構造である。現在、韓国の経済はピンチだ。何年も前から「時限爆弾」と指摘されながら何一つ改善できない家計債務、ウォン高による輸出企業の不振、経済政策の無策……。頼みの綱の中国経済も成長率が思わしくない。
そんな状況の今年5月、韓国の経済副総理で企画財政部長官を兼職している崔炅煥氏は、よりによって滞在中の日本で「日本は(経済関連で)成果を出しているのに、韓国は野党と国会が足を引っ張っている」などと発言した。日本では「韓国の副総理がアベノミクスを認めた」と報じられたと聞くが、韓国では、「なぜ日本で祖国の悪口を言うのか」と激しく批判された。
安倍総理は韓国で大悪党扱いなので口に出しにくいが、韓国の一部にはアベノミクスを評価する人もいる。特に日本の企業がベアに応じることは羨望の対象でもあった。韓国では、財閥企業優遇政策で莫大な利益を得ながら賃金引き上げに非協力的な大企業への反感が強いからだ。
※SAPIO2015年8月号