中国共産党の党員数、と聞いてピンと来る人はそう多くないはずだ。現地の情勢に詳しい 拓殖大学教授の富坂聰氏が指摘する。
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贈答品はデスクに山積み、公費は使い放題。ポストの権限次第では賄賂で一財産築くことも夢ではなかったかつての党員(中国共産党党員)の環境は大きく変わってしまった。いうまでもなく習近平指導部の進める反腐敗キャンペーンとぜい沢禁止令の影響だ。
この政策の浸透にともなって大学生の公務員離れが叫ばれて久しいが、これは膨らませ過ぎた党員の数が重荷となり調整を余儀なくされる指導部にとっては追い風となっているのかもしれない。
6月30日付で『中国青年報』(ウェブ版)に掲載された記事〈党員の数が8779万人に達する〉からは、そうした現実がわずかだが読み取ることができる。
中国における権力の象徴である党員の総数は、党の組織部の発表によれば2014年末現在で約8779万3000人。昨年同期比で1.3%の増加。このところ野放図に膨らんでいた増加傾向に一定の歯止めがかかったという。なかでも当局が誇っているのが、従来、頭でっかちになっていた組織の質を転換し、基層の党員を増加させたことだ。そのことは基層党員数の増加幅が、やはり1.3%と全体の伸びと重なっていることからも理解できる。
さらに統計上では若年化も進んでいる。同統計によれば35歳以下の党員の数は昨年から約169万3000人増え、全増加数(約205万7000人)の党員の82.3%を占め、増加幅も昨年比0.6ポイント上げている。
一方、学歴の面では大学卒相当以上の学歴を持った党員の増加数は79.7%で前年の増加幅を2.6ポイント上回った。女性党員の数は2167万2000人で全体の24.7%を占めた。
統計を見る限り目標を定めて、その数字を着々とクリアしているようにも見えるが、党員のなかで農民(漁民も含む)と労働者の数を合わせると約3327万人で全体に占める割合は37.8%。人口比で見るとやはり農民軽視は明らかなようだ。