自衛隊の発足から60年余り。戦後の平和主義国家を支えてきた組織がいま、安保法制論議によって大きな分岐点を迎えようとしている。そこでいまこそ私たちは、「世界最良の軍隊」とも言われる自衛隊の真価に、目を向けるべきではないか。
1991年に初の海外での実任務として海自がペルシャ湾の機雷除去を行って以来、自衛隊は国際連合平和維持活動(PKO)や国際緊急援助隊など、積極的な国際協力活動を続けている。米同時多発テロ後の2001年から始まった自衛隊のインド洋派遣では、米鑑などへの洋上給油を実施した。
「アルカイダやタリバンなどテロ組織による資金源や武器の海上輸送を阻止する作戦の一翼を担い、地域の平和と安定に貢献した。地道な活動を8年間も続けたことを当時、野党の民主党は意図的に評価しなかったが、世界各国の見解はまるで違った」(元自衛艦隊司令官・香田洋二氏)
実際、日本の補給支援活動には、「非常に大きな貢献」(アフガニスタンのスパンタ外相)、「評価するとともに感謝」(潘基文・国連事務総長)の声とともに、パキスタン、バーレーン、フランス、ドイツ、インド、EUなど16の国と機関から評価と謝辞が送られた。
2010年から2013年まで続いたPKOのハイチ安定化ミッションには陸自の施設部隊が派遣され、がれき除去や道路補修を担った。国連のミッション特別代表は陸自の規律正しさや高い技術力を「他部隊の模範である」と称賛した。
※SAPIO2015年8月号