ギリシャと中国で起こった2つの「危機」などなかったかのように、日本株市場が安定感を見せている。不気味ともいえるこの「強さ」の源泉は何なのか。
ギリシャ危機、上海株暴落に見舞われ、日経平均株価は7月8日に2万円割れとなったが、週明けの13日には2万円台を回復した。世界同時株安の危機にもさほど動じることなく、堅調な推移を見せている(7月23日現在)。
国内外の株式市場に詳しい戸松信博氏(グローバルリンクアドバイザーズ代表)はこう分析する。
「ギリシャ危機はローカルな話にすぎない。たとえばギリシャとほぼ同じ経済規模の米国デトロイト市が2013年に破綻しましたが、株式市場への影響などほとんどありませんでした。上海株も中期トレンドを示す200日移動平均線を下回っておらず、冷静に見ると大きく下がっていない。
直近では東芝の不正会計が発覚しましたが、このような悪材料があっても大きな影響がなかったことで日本株の強さが改めて証明された格好です。外的要因による瞬間的な下落があるとしても、世界的に見ればいまだ割安な日本株は当面強いと見て間違いありません」
その強さの背景には、日銀のETF(上場投資信託)買いに加え、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとする年金マネーが相場を下支えする構造がある。その余力がどれだけあるかは様々な見解があるにせよ、“景気の腰折れ懸念が高まっても、日銀のさらなる追加金融緩和が行なわれる”という市場の期待感も株価の堅調の拠り所となっている。
※週刊ポスト2015年8月7日号