戦後70年を迎える今夏、中国・韓国の対日工作は、激しさを増している。だが、中韓で「慰安婦強制連行40万人説」が生まれるなど、新たな“嘘”も生まれている。ジャーナリスト・櫻井よしこ氏と作家・井沢元彦氏が、中韓両国の欺瞞に対し、日本の採るべき道を語り合った。
井沢:私は以前から日本の情報発信力の弱さを指摘してきました。対外情報発信の専門機関などを作るのは急務です。そして中韓に対抗するために、日本の立場を国際社会に発信すべきです。
櫻井:同感です。それなのに外務省は500億円もの予算を使ってロンドンやロサンゼルスなどにアニメや和食を紹介する「ジャパン・ハウス」を作るのです。すでにアニメも日本食も世界中の人たちが歓迎しています。500億円の一部は情報発信にも使われますが、ジャパン・ハウスの発想はおかしい。
井沢:朴槿恵大統領はトップセールスで日本の悪口を世界中で言っているのだから、日本もやらなければならないことはたくさんあるはずです。
櫻井:歴史問題や日本の徴用工の文献は左翼陣営の影響下にあるものばかりで、保守陣営の論文はごくわずかです。翻訳された文書になるとさらに少なくなります。国際社会は英語で読むわけですから、中韓が喧伝するような捏造された歴史が広まってしまいます。その意味で英文での発信力を極力高めなければなりません。
井沢:いかに情報を発信するかという面では、安倍首相の戦後70年談話は注目です。
櫻井:昨年5月シンガポールでのアジア安全保障会議、そして今年4月、インドネシア・バンドンでのアジア・アフリカ会議とアメリカ議会での安倍首相の演説を聞くと一本の芯が通っています。
前向きで未来志向、そして民主主義や自由という価値観の大切さを訴えている。何より過去を反省して未来を見つめるという意志を感じます。70年談話でもその路線は引き継がれると考えています。
井沢:私も中韓に“言葉の力”を思い知らせればいいと感じています。我々は民主的で平和な国を築いた。でもまだ世界には一党独裁により、人民が苦しんでいる国がある、こんな国が地球からなくなるように祈っている、と。
櫻井:それはいいですね。ただ、どんな談話を出しても中国や韓国は批判するでしょう。だからこそ、これからも信念を持って日本の立場を主張していかなければなりません。
※SAPIO2015年9月号