中国の先行きについては世界が注視している。爆買いの原動力となった経済はどこに着地するのか。拓殖大学教授の富坂聰氏が指摘する。
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中国の株式市場における株価の乱高下が続いている。かつては香港の市場からの影響にとどまっていた下落の連鎖が、ダイレクトに日本やニューヨークにも起きたことで世界中に動揺が広がった。日本でも、かねてから話題の「中国経済崩壊説」が急速に頭をもたげている。
中国における株式市場の問題は、本来、中国経済全体に大きな影響を及ぼすものではない。今回の問題は、長年、市場を開放せず過保護になっていたところに自由化の要素を持ち込んだことによる混乱であって、実体経済と連動した動きではない。それ以前の問題として中国の株価は、実体経済にあわせて上下してきたわけではない。
ただ、株式市場の問題が思わぬ形で経済全体に影響を及ぼす可能性がないわけではない。というのも株価の問題とは無関係に、中国経済の失速がはっきりとしてきているからだ。
なかでも重厚長大産業の集積地として知られる東北部の問題は深刻で、今後も大型の企業倒産が相次ぎ、失業問題が深刻化することが予測されているのだ。
こうした事情受けてか、4月には李克強首相が東北を訪れたのに続いて習近平国家主席も7月中旬から東北を回っている。
中国東北部の直面する景気悪化の問題は、メディアでも注目の話題である。7月21日付『時代週報』は、〈中国の東北人 企業倒産が相次いだ影響で外国に活路を求める動きが活発化 ヨーロッパ移民の主力として台頭〉というタイトルでその惨状を伝えている。記事によれば東北部の問題は、すでに1996年から始まり、国が民間の保険や社会保障制度を整え始めるよりも前から倒産の問題が深刻化してしまったことだという。
それにしても自らに降りかかる火の粉は、とりあえず自らの手で払おうと早速外国に活路を求めるのは中国人らしいが、それが日本にではなくヨーロッパに向かったことは興味深い。きっとそれほど日本経済の落ち込みは中国でも有名なのだろう。