D:「みずほの一件は、コーポレートガバナンスの弱さが傷口を大きくした典型的な例だった。マスコミの追及は厳しかったから広報部は大変だったろうね」
B:「謝罪会見の仕切りは、広報部長にとって最大の仕事ですからね。みずほみたいに、マスコミの不評を買うと会見もより苦しくなる。ある大手自動車メーカーが不祥事を起こした時に、社長の“どうしても本社に近い某地方都市でやりたい”というワガママを抑えきれなくて、広報部が『夜9時から●●市のオフィスで』と発表したことがあった。
夜に突然、しかも地方に呼びつけられた記者たちはかんかんに怒った。オレも新幹線の中でイライラしていたのを覚えてるよ。それもあってか、会見での追及は厳しかった。そもそも社会部記者は普段付き合いのある経済部より格段にキツい。広報部長が社内事情を優先させるとそういう悲惨なことになる」
D:「逆に、社長が広報部長に丸投げする会社もある。ある玩具メーカーの広報部長は、新製品の発表会はもちろん、社長の講演会の台本まで書かされるってボヤいてた。細かい“ボケ”まで考えさせられて、前日には読み合わせの相手をさせられるそうだよ」
C:「ウケなかったら、『お前のせいだ』って叱られちゃうんですかね?(笑い)たしかに、社長のスタンス次第で広報の対応も大きく変わりますよね。航空業界の企業でも、マスコミに積極的に出る社長か、出たがらない社長かで会見の段取りにずいぶん差があります」
※週刊ポスト2015年8月14日号