「広報部長」は企業情報化時代の花形ポストのように思われがちだが、華々しいニュース発表や製品PRだけが仕事ではない。謝罪会見を仕切ったり、お詫び文を作るのも広報部長の仕事であり、トラブルシューティングも重要業務だ。
そこで本誌は一般にほとんど知られていない広報部長の業務の実態を探るべく、内情に詳しい記者を集めて緊急座談会を行なった。
出席者は、銀行担当の40代経済誌記者A氏、同じく40代で自動車業界に詳しい大手紙記者のB氏、航空業界に明るい30代若手記者C氏、電機業界を中心に長く取材してきた50代のベテラン経済記者D氏だ。
A:「東芝の不祥事(不適切会計)には本当に驚かされたけど、大企業の広報部長は他人事には思えなかったみたいですね。
ある大手銀行の広報部長が『ウチも早速、社内の総務部や法務部から専門的な知識を仕入れて、東芝のような状況に陥った時にどう対応すべきかシミュレーションしている』とこっそり教えてくれた。
おおっぴらに謝罪会見のシミュレーションはできないし、変に社内で『ウチもおかしな“チャレンジ”をしているらしい』なんて噂されたら面倒なことになるから、相当気を遣っているみたい。銀行業界は、みずほ銀行が反社会的勢力と付き合っていたことが発覚して以来、余計に神経を尖らせているしね」
〈2013年9月、金融庁は旧みずほ銀行がグループ会社との提携ローンに230件、約2億円の暴力団関係融資が含まれていることに気付きながら、2年半も放置していたとして業務改善命令を出した。
2013年11月、みずほ銀行の塚本隆史会長が辞任を表明。しかし、フィナンシャルグループの会長の座に留まるとしたことで厳しい批判を浴び、一転して退任に追い込まれた。この問題ではOBも含めて54人が処分されている。〉