各局が視聴率低迷に喘ぐなか、テレビ関係者は「NHKが面白い」と口を揃える。その代表が『LIFE!~人生に捧げるコント~』(木曜22時放送)だ。
ウッチャンナンチャンの内村光良がメインのコント番組で、強烈なキャラクター設定がシュールな笑いを誘う。7月23日には、こんなコントが放送された。
設定は報道番組。食品メーカー「味無食品」の異物混入事件を報じた直後、内村扮するキャスターがICレコーダーを取り出す。それに事件の真相が録音されているとして、「しがらみや圧力というものに屈せず徹底的に暴く。それがこの番組の使命だと思っています」と豪語。
そこでCMシーンに入るが、なんと流れるのは味無食品のCMだった。CMが明けると、内村の髪は乱れ、ネクタイは曲がっている。内村は「ごめんなさい」と小さくつぶやき、涙を拭った。コントのタイトルは「何かあったな」だ。
スポンサー批判ができないテレビ局の内情を風刺したコントは、民放にはできない芸当だ。
バラエティだけではない。一定の場所を3日間にわたり撮影し、訪れる一般人の人間ドラマに焦点を当てた『ドキュメント72時間』なども人気が高い。
かつて民放テレビから生まれた上質なコントも洒落っ気のある素人いじりも、いまやNHKの専売特許になった。
※週刊ポスト2015年8月14日号