IPO株の割当は主幹事ほど多いため、前述の大手証券で申し込んだ方がいいように思えるが、必ずしもそうとは限らない。東京IPO編集長の西堀敬氏はこう指摘する。
「大手では1億円以上の残高を有するような大口顧客が優先されるため、小口顧客や新参者はなかなか食い込めない。最近ではネット証券が引受証券会社に名を連ねるようになり、その多くは1人1口しか申し込めない完全抽選なので、初心者ならネット証券で片っ端から申し込むほうが取得できる確率は高い。
意外な狙い目は、対面営業主体の中小証券会社。今回の主幹事でもある岡三証券や東海東京証券のような準大手以下の中小では、取引先の拡大を目指して新規取引でも融通してくれる場合があります」
家族に協力してもらって同じ証券会社に何口も応募するのも一計だろう。公募価格で入手できれば、初値で大きなリターンを手にすることも期待できる。たとえ抽選に外れても1円もかからないため、「お金のかからない宝くじ」と呼ばれるのも頷ける。
「上場承認が発表されてから1か月ほどの間にブックビルディングが実施されるので、それから口座開設しても間に合わない。10月上場なら9月後半に上場承認となるので、遅くとも9月の連休前までに口座開設を済ませておいた方がいいでしょう」(前出・西堀氏)
とはいえ、「1兆~2兆円規模の大型IPOになると、応募者にほぼ行き渡る可能性が高く、抽選になったとしても倍率は低いのではないか」と予測する市場関係者は多い。いたずらに不安に駆られる必要はないかもしれない。
※週刊ポスト2015年8月14日号