プロ野球選手にとってマイカーはステータス・シンボル。山本昌は市価1億円とされるランボルギーニミウラ400SVのオーナーだ。中田翔や西岡剛、山崎武司など球界にランボ党は多い。
ただプロ野球選手は高級車と縁深い分、トラブルにも見舞われやすい。中日の岩瀬仁紀は、これまで何度も車上荒らしに遭遇した。
「2001年には愛車のベンツからタイヤ4本が盗み取られた。惨状を見て、“バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンかと思った”という名言を吐いて話題になりました」(中日担当記者)
そしてもう一つ、重大なトラブルといえば、交通事故がある。近年は事故に巻き込まれるのを嫌って、専属運転手をつける選手も増えてきている。最近では糸井嘉男や中島裕之、一昔前は清原和博や立浪和義らがそうだった。
ちなみに球界で専属運転手をつけた草分けは、金田正一氏だとされる。
「ワシも初めは自分でオースチンを運転していたが、長嶋がデビューした年(1958年)に大事故を起こして死にかけたことがあってな。それ以降はトラックと正面衝突しても壊れない丈夫な車にして、自分では運転しないことにした」(金田氏)
どの球団も交通事故の不祥事には神経をとがらせているが、特に親会社が交通インフラである阪神は厳しい。阪神では2013年に寮の規則が改正され、高卒新人選手のマイカー購入禁止の措置が入団3年終了時点にまで延長(それまでは2年)された。若手は野球に集中させるという意味もあるようだ。前出の金田氏が語る。
「賢明ですよ。最近の若い選手はすぐに高級車に乗りたがるが、そんなカネがあるなら、もっと自分の体を磨くことに使えといいたい。ワシらの時代は、どんなことも野球のためという意識があった。体を守るために頑丈な外車に乗っていたわけで、格好をつけていたわけではないからな」
重鎮の声は選手に届くか。
※週刊ポスト2015年8月14日号