創設100年記念大会となる「第97回全国高校野球選手権大会」の始球式をつとめた世界の本塁打王・王貞治氏にとっても高校野球は特別なものであり、野球の原点だという。その王氏と、王氏の師匠であり打撃コーチだった荒川博氏、荒川氏のもう一人の教え子である黒江透修氏の3人の鼎談は、1年生ながら怪物と注目を浴びている早稲田実業1年の清宮幸太郎選手の話にも及んだ。
黒江透修(以下、黒江):お元気そうで。
荒川博(以下、荒川):いやいや、今はあっちが痛い、こっちが痛いと大変だよ(笑い)。
黒江:それにしても早実は見事だったね(取材前日に早実が甲子園出場を決定)。ワンちゃんは始球式があるから良かったね。
王貞治(以下、王):0-5からの逆転だからね。荒川さんは清宮君をどうご覧になっていますか。
荒川:いいよ。100年に1人の逸材だと思う。王が100年に1人だから、やっと次が出てきたという感じ。実にいい構えをしている。ちょっと教えるとパカパカ打っちゃうだろうね。
──具体的にどこが良いのでしょうか。
荒川:彼はステップすると同時に打っているからいいんですよ。迷いがない。今の巨人の連中をご覧なさい、阿部(慎之助)や坂本(勇人)は余計なステップをするからバランスを崩している。ステップして打つのではなく、ステップする段階で打っていないとダメなんだよ。
黒江:坂本なんかもっと待てばいいのに(手を伸ばして)こんな先で打っている。誰も教えないのかな。
※週刊ポスト2015年8月21・28日号