1966年にスタートし、来年50周年を迎える『笑点』(日本テレビ系)。その大喜利をまとめる司会者の交代説が浮上している。その理由は2006年から5代目司会者として番組の“顔”を務めてきた桂歌丸(78)の体調問題だ。
今年6月、歌丸は背部褥瘡(床ずれ)で入院。手術は成功して退院したのも束の間、すぐに腸閉塞のため再入院した。昨年も慢性閉塞性肺疾患と肋骨骨折、帯状疱疹などで入退院を繰り返していたこともあり、周囲は不安を募らせていた。
歌丸の次に座る司会者候補として最初に関係者の間で浮上したのは、タモリやみのもんたといった“超ビッグネーム”だった。
2人とも落語家ではないが、過去『笑点』ではタレントの前田武彦(2代目)や「てんぷくトリオ」リーダーの三波伸介(3代目)が司会を務めた前例がある。三波の急死後、正月特番でリリーフ司会を務めたのも俳優の愛川欽也だった。番組関係者が語る。
「タモリさんもみのさんも知名度は抜群ですし、生放送の経験が長いので、時間や流れを計算して番組進行するのもお手のもの。安心感があります。タモリさんはこれまで落語界とは縁がありませんが、『笑っていいとも!』で見せた当意即妙の受け答えで、レギュラー陣から一味違った笑いを引き出せるのではないでしょうか」
一方のみのもんたは、かつて桂米助や立川左談次らがレギュラーを務めた演芸番組『生放送! おもしろ寄席』(テレビ東京系)で司会を務めた経験があり、いまも落語界とつながりがあるという。
『みのもんたの朝ズバッ!』(TBS系)で見せた鋭いツッコミで番組を盛り上げてくれるのではと期待された。
しかし、2人の名前はすぐに消えたという(タモリ、みのもんたの事務所はともに「司会者起用の打診は受けていない」と否定)。
外部からタレント司会者を起用すれば出演者からの反発が予想され、「今のメンバーを総入れ替えせざるを得ない」(番組関係者)事態を招きかねなかったからだ。歌丸はかつて雑誌のインタビューでこんな話をしている。
〈マエタケ(前田武彦)さんは放送作家出身で、「フリートークの魔術師」とまでいわれた名司会者。だけど、いかんせんマエタケさんは噺家じゃない。だから、どうしても“息”や“間”が合わない。こっちが投げたボールを受けてくれないんですよ。
(中略)噺家の間は噺家じゃないと出せない。ボールのやりとりが心地よくできるというのは、大喜利にとって一番大事なことなんです〉(『文藝春秋』2012年3月号)
※週刊ポスト2015年8月21・28日号