ビジネス

五輪で実用化へ ロボットスーツ、電子ペーパー、枯れない花

東京五輪見据えた未来技術とは?(内閣府資料より)

 新国立競技場建設計画が振り出しに戻り、この調子だと、随分と地味な競技場になりそうだ。しかし、2020年のオリンピック会場はもちろん、東京都内は今では考えられない科学技術で満たされるらしい。

 内閣府の「総合科学技術・イノベーション会議」は昨年、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた科学技術イノベーションの取組に関するタスクフォース」(以下・タスクフォース)を設置。同タスクフォースが、オリンピック開催時に世界に示す日本の科学技術のラインナップを公表した。

 それらの技術はどういうものか。バスの自動運転やFCV(燃料電池車)の実用化といった次世代交通システムの構築や、ゲリラ豪雨・竜巻事前予測など、大きく9つのプロジェクトが提示されているが、ここでは3つの技術に注目した。

 まず「新・超臨場体験映像システム」だ。この技術があれば、「キールアーチ」などなくても、十分なインパクトを来場者に与えることが可能になる。次のようなイメージが提示されている。

 東京オリンピックの開会式。新国立競技場の中央上空に、巨大なアスリート達の立体映像が浮かび上がる。これは他視点映像やプロジェクションマッピングの技術を使えば可能になるという。

 また、聖火リレーの最終ランナーの登場シーンでは、競技場トラックがあたかも雲の上のようになっている。その雲の隙間から、最終ランナーが登場。光の輪の中を駆け上がって聖火に点火する――。こんな演出も可能だ。

 閉会式ではもっとダイナミックな活用の仕方もあるだろう。まだ決まっていない総合演出担当者のアイデアの見せどころになるはずだ。

 超臨場映像技術は、開会式や閉会式以外にも様々な展開が可能となる。例えば、入場チケットにもその技術を応用できる。インタラクティブシートディスプレイの技術を使うのだ。

 インタラクティブシートディスプレイとは、双方向通信が可能な紙状のディスプレイのこと。ペラペラの紙のようなチケットに、動画が映し出される。チケットのある部分を押すと、必要な情報が映し出される。

 来場者はこの電子ペーパーを持って来場する。競技前にこの電子ペーパーを操作し、次の試合に登場する選手のデータをチェックする。競技中には、その電子ペーパーに目の前の競技の生放送の映像を送信することもできる。また、競技場の案内図も見ることができる。出口や売店、トイレがどこにあるかが分かる。

 このインタラクティブシートディスプレイの技術を使えば、「デジタルサイネージ」(電子看板)も容易になる。ポスターや看板で動画展開ができるようになる。また、インタラクティブ(双方向)なので、画面に触れれば、別の情報を映し出すことも可能になる。

 競技会場以外での展開も、念頭に置いている。例えば、パブリックビューイングでの展開だ。近年、パブリックビューイングの需要はぐんぐん伸びている。日本映画製作者連盟によれば、映画館でのパブリックビューイング収入は2012年に20億5000万円だったのが、2013年には33億1200万円、2014年には42億5500万円に急拡大している。

 スポーツ観戦などは、家で楽しむのではなく、同じファン同士で同じ場所で一緒に楽しみたいというニーズが増えているとされる。シートディスプレイの技術を使えば、より多様なパブリックビューイングを展開できる。

 例えば、大型トレーラーのコンテナの壁面にシートディスプレイを搭載すれば、どこでもパブリックビューイングが可能となる。地方の公園や駐車場が、即、パブリックビューイング会場になる。また、ビルの壁面にシートディスプレイを貼れば、街中でもパブリックビューイングが可能。さらに、プロジェクションマッピングの技術を使えば、3D立体映像のパブリックビューイングが可能になるかもしれない。

関連記事

トピックス

百合子さまは残された3人の仲を最後まで気にかけられたという(2023年6月、東京・港区)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン