東京未来大学・こども心理学部長の出口保行さんへのお悩み相談コーナー。今回は大阪の恵美子さん(40才)から、決まっていた事柄について、いきなりちゃぶ台返しをする困った友人についてのお悩みを受けた。
【相談】
友人の亜希は、いつも自分のペースに人を巻き込むので困ってしまいます。レストランを予約していても、それより気になるお店があったら、平気でドタキャン。謝るのはいつも私です。でも、彼女のチョイスは間違いなく…って、それでもやっぱ違うよ!
【解説】
恵美子さんは友人の亜希さんの身勝手な行動に困惑しているのですね。「ここよりもあっちのほうがいい」となると、周りの迷惑など顧みることなく行動する、亜希さんのようなタイプを心理学用語で「センセーション・シーキングが強い」と言います。つまり、刺激的なことをつねに探し続けている人のことです。
今ある現実に満足できないから、新しい刺激を求め続ける。そうじゃないと自分が満足できないのです。要は気が変わりやすい人です。
人妻の不倫を取り上げたテレビドラマ『昼顔』が話題になりましたが、不倫を繰り返す人もセンセーション・シーキングが強い人です。
結婚生活がマンネリ化してくると、ドキドキがほしくなって、ほかの男性に目がいくようになる…。リスクが高いことを求めてやまないのもこのタイプの特徴です。
実は、非行少年や犯罪者にもこのタイプが多いのです。非行がバラエティーに富んでいき、「盗みだけじゃ飽きたから、クスリをやってみようか、それも飽きちゃった…」と、犯罪がエスカレートすることに。
非行少年は少年院などで、地道な行動を繰り返すことで更生は可能ですが、「昼顔」を繰り返すような年齢の人がこれを直すのは、止める手段がないので、難しいようです。もちろん、センセーション・シーキングが強いことを自覚すれば、自ら警鐘を鳴らせるでしょうが…。
とはいえ、クリエーティブな仕事をしている人の多くにも、このタイプが少なくないとも考えられます。同じことの繰り返しではクリエーティブな仕事とはいえませんから。当然のことですが、仕事ができるからといって「昼顔」をしてもいいわけではありませんが、特性としてそういう一面もあるということです。
いろいろなことに興味を持ちやすいのがこのタイプ。ですから、一緒に仕事を始めたりすると、調子よくはしごをかけてくれたけど、いきなりそれを外される可能性があることを念頭に置いておきます。
そうならないためには、その人が過去にいろいろなことをコロコロ変えていないか、結果を出すまでいってから、次に取りかかっているかどうかを見ることです。普通の人は仕事の結果を出すことに目的がありますが、このタイプはプロセスに重点を置くので、それさえ達成してしまえばやり遂げたことになってしまうのです。
新しいことを始めたときのワクワク感が好きなので、それがなくなると結果はどうでもよくなる…。もちろん最後までやり遂げる場合もあります。そういうときはずば抜けた結果を出すことも。仕事で成果を出すことがいちばんの興味になっていれば続くわけです。
仕事関係じゃなくて、友人つきあいでも同じです。あまりにもコロコロ変わりやすく、それに辟易としているなら、距離を置くのも致し方ないことだと思います。
※女性セブン2015年8月20・27日号