老後資金を守るなら、公的年金をより“お得”に受け取る方法を学んでおくことが大切だ。厚生年金の受給開始年齢は60歳から65歳に引き上げられた。ただし、受給開始が近い年代には、激変緩和措置が設けられている。
男性は「1961年4月1日以前に生まれた人」、女性は「1966年4月1日以前に生まれた人」まで65歳以前から部分年金(報酬比例部分)を受け取れる。
たとえば夫婦ともに1958年生まれの場合、夫が受給できるのは63歳からだが、妻は61歳から受給できる。部分年金は38年間勤務した一般的なサラリーマンの場合で月約7万~9万円だが、「65歳まで年金はもらえない」と勘違いして、年金事務所などに申請しないと受給できないので要注意だ。
一方、国民年金(基礎年金部分)も早くて60歳、遅くて70歳から受け取る方法がある。それが「繰り上げ受給」「繰り下げ受給」だ。
繰り上げをすると、毎月の年金額は〈繰り上げた月数×0.5%〉減額される。60歳からもらうなら〈60か月×0.5%〉で年金額は3割減ってしまう。
逆に繰り下げをすると、〈繰り下げた月数×0.7%〉増額される。70歳からなら〈60か月×0.7%〉で4割増えることになる。どちらが得かは、何歳まで生きるか(年金を受け取る年数)による。
繰り上げで60歳から受給なら「76歳8か月」よりも長生きすると、普通に65歳から受け取るよりもトータルの受給額で損することになり、繰り下げで70歳から受給なら「81歳10か月」よりも長生きするとトータルの受給額で得することになる。
※週刊ポスト2015年8月21・28日号