中国広東省の何源市の道路の建設現場で、6月から7月下旬までの2カ月の間に、少なくとも約6500万年前の大量の恐竜のタマゴと恐竜の子どもの完全な化石1体が出土。建設労働者が保護していたところ、ある日突然消えてしまったことから、警察が捜査した結果、付近の村の住民の住居に隠されていたことが分かった。
村ぐるみの集団的な盗難であることが判明しており、村民らは「高く売れると思った」と犯行を認めている。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
何源市は「恐竜の里」と呼ばれるほどで、恐竜の卵や骨格、足跡の化石が全て見つかっている。同市郊外の東江村の周辺では1996年3月に初めて恐竜の巣が発見されており、これまでに、すでに約1万7000個の恐竜の卵の化石が発掘されている。
河源市博物館は2005年、館内に1万8個の恐竜の卵の化石が収蔵されていることで、「最も恐竜の卵の化石が多い博物館」としてギネスの世界記録に認定。中国地質調査局地層・古生物センターは同市を「中華恐竜の里」に指定している。
今年4月にも同市中心部の繁華街にあるホテル入り口の道路整備の工事現場で、恐竜の卵の化石計43個が出土している。同市の繁華街で恐竜の卵が発見されたのは初めて。
今回、恐竜の卵の化石などが出土した場所は市の郊外の村落部で、213個の卵の化石と子どもの恐竜の完全な骨格の化石1体が発見された。完全な骨格化石は非常に珍しく、卵から孵化直後に何らかの環境の激変で土中に埋もれたとみられる。
このため、村人がグルになって貴重な化石を売却目的で盗んだとされ、卵の化石は村民の自宅の階段下の物置に無造作に置かれていたという。
河源市で大量の恐竜の卵が出土していることについて、河源市恐竜博物館の杜衍礼館長は中国メディアの取材に「工事現場の地質は赤色砂石岩層で、恐竜の卵の化石が存在する環境に合致する。これらの恐竜の卵の化石は、巣ごと発見された。この巣の卵の化石は大ぶりで、直径が約13センチに達するものもある。具体的にどの種類の恐竜であるかについては、中国科学院の専門家による確認が必要だ」と指摘している。