「山道で出会うとしたら、ヒグマとハチではどちらが怖いか」と尋ねられたら、ほとんどの人がヒグマと答えるのではないか。2005年から2014年までの10年間で、ヒグマに襲われて死んだ人は12人。年平均では1.2人となる。
被害はやはり北海道に集中し、北海道以外では動物園で飼育員が襲われるケースがほとんど。2012年4月には、秋田県の八幡平クマ牧場で、飼育員女性2人が襲われて死亡し、ヒグマ6頭が逃亡したのち、射殺されるという陰惨な事件も起きている。
では、ハチはどうか。以前ハチに刺された経験がある人が再び刺されると、アナフィラキシーショック(急性のアレルギー反応)を起こすことがあり、ひどいときは意識不明に陥り、急死することもある。
厚労省の人口動態統計によると、ハチに刺されて死亡した人は、2004年から2013年までの10年間で193人。年平均で19.3人で、「有毒動植物との接触」という死因のなかで、ハチによる死は毒蛇よりも多く、堂々のトップだ。
明らかにヒグマよりハチのほうが人をたくさん殺しているが、それはヒグマに出会うことが滅多にないからで、出会ったときはかなりヤバイので逃げよう。
ちなみに、クマに遭遇したら「死んだふり」がいいというのは、デマらしい。
※週刊ポスト2015年8月21・28日号