ビジネス

放送と通信の融合 目に見えた成果表れていないと佐々木俊尚氏

 2005年、“ホリエモン”こと堀江貴文氏率いるライブドアによるフジテレビ買収騒動が起きた。堀江氏は大株主としてフジテレビとの話し合いを持ちかけたが、フジテレビ側が拒否。膠着状態が続いたなか、ソフトバンクグループの金融部門がフジテレビの“ホワイトナイト”として登場、ライブドアの買収を封じた。あれから10年、この間大きく変化したのは、テレビとネットの力関係である。

 NHK放送文化研究所が5年ごとに行なう「日本人とテレビ」の最新結果がこの7月に公表された。

 それによると、調査が開始された1985年から「長時間化」の傾向にあったテレビ視聴時間が、初めて減少に転じた。さらに20~50代の幅広い年層でテレビを「ほとんど、まったく見ない人」が増加し、20代では5年前の8%から16%に倍増している。

 その代わりに影響力を増したのがネットである。同調査では、「テレビよりネット動画のほうが面白いと思うことがある」人の割合は、20代で54%、10代では66%にも上る。肝心のコンテンツ力でも、もはやテレビはネットに負けつつあるのが現状なのだ。

 もちろん、テレビの側もそのことを十分自覚しており、そのため様々な形でネットとの連携を図っている。

 NHKをはじめ各社が、過去放送した番組をネットで有料視聴できる「オンデマンド」事業に参入。さらに、日本テレビが米動画配信会社Huluの日本事業を買収し、フジテレビがNTTドコモの運営する日本初のスマートフォン向けテレビ局NOTTVと提携するなど、遅まきながら「放送と通信の融合」が進んでいるように見える。

 だが、NOTTVが赤字続きで問題になるなど、目に見えた成果が現われていないのが実状だ。その理由を、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏はこう分析する。

「アメリカのテレビ局は、ドラマを地上波で放送するほかにケーブルテレビに売り、有料でネット配信し、さらにDVD化して販売する、というように一つのコンテンツで何度も儲ける仕組みがある。

 ところが、日本のテレビ局はいまだにほとんどをコンテンツではなくCMで稼ぐビジネスモデル。同じドラマを簡単にネット配信すると、地上波の視聴率が下がり、CM収入が減る可能性がある。コンテンツで儲けようとするとCM収入が減るという『タコが自分の足を食べるような状態』になることを、テレビ局は極端に恐れているから、ネット配信に本格的に力を入れることができないのです」

※週刊ポスト2015年8月21・28日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン