デング熱と熱中症、命をより危険に晒すのはどちらか。まず、昨年夏に大騒ぎになったデング熱から見てみよう。初の国内感染が確認され、2014年に国内発生数は162例、輸入症例は179例だった。
デング熱の致死率は15%程度とされているが、先進国では死ぬケースは少なく、実際、昨年は日本では死者は出ていない。今のところ、日本でデング熱で死ぬ確率はゼロだ。ただし、再感染すると重症化してデング出血熱を引き起こす可能性が高まるので注意は必要だ。
一方の熱中症。環境省の「熱中症環境保健マニュアル2014」によると、熱中症による死亡者数は1993年以前は年平均67人だったが、1994年以降急増し、猛暑だった2010年は1745人にのぼった。死亡者の大半を占めるのが65歳以上の高齢者だ。
都内の公園などには、昨年来「蚊に刺されないよう注意」という看板が立てられているが、合わせて「熱中症に気をつける」旨も付け加えるべきである。
※週刊ポスト2015年8月21・28日号