人に殺される確率と自分で死ぬ確率はどちらが高いのか。「日本は自殺者が多い」という話はよく聞くので、結果は明らかではあるが、正確な数字を見てみよう。
厚労省の人口動態統計によると、他殺による死亡者数は減少傾向にあり、2014年で357人。おおむね1日に1人が誰かに殺されていることになる。
他殺について、「誰に殺されたか」の内訳を見ていくと、興味深いことがわかる。「犯罪被害者白書 平成27年版」によると、2013年の「殺人」(嬰児殺、自殺関与などを除く)の検挙数のうち、被害者が「実父母」(子供が加害者)のケースは134件であるのに対し、被害者が「配偶者」であるケースは146件で、わずかに配偶者のほうが多い。
ちなみに被害者が「実子」(親が加害者)は82件、「兄弟姉妹」は35件である。殺人検挙数全体のなかで、家族・親族(養父母や継子などを含む)が加害者であるケースは53.5%で、半数以上が“身内”なのだ。
一方、自殺者数はというと、警察庁の発表によると、2011年までは年間3万人を超えていたが、近年は減少傾向にあり、2012年には2万7858人だった。交通事故の死者数の6倍以上で、他殺の70倍以上である。
※週刊ポスト2015年8月21・28日号