かつてのゴルフ場、廃校になった学校の校庭、旧飛行場の滑走路──全国各地の様々な場所がいま、ソーラーパネルに覆われ「再生」しようとしている。
深刻な電力不足に陥った東日本大震災以降、太陽光発電の導入が加速している。過疎化の進む地方の空白地は、次世代エネルギー開発の舞台としてもってこいの環境を備えていた。その内容は、小さな宅地造成地の再利用から、メガワット級の大量発電を行なう「メガソーラー」と呼ばれる大規模発電所建設まで様々だ。
たとえば昨年12月に稼働を始めた関西最大級のメガソーラーである兵庫県・淡路島の「淡路貴船太陽光発電所」では、約40ヘクタールの敷地にソーラーパネルが設置され、9000世帯分の年間電力を賄う見込みだ。
太陽光発電は単なる「空き地の転用」に留まらない。静岡県菊川市では、茶畑を覆うようなソーラーパネルの配置が印象的だ。一定期間、直射日光を遮る必要のある抹茶栽培と、太陽光発電を両立させた。農家は従来の遮光棚の設置が必要なくなるうえ、太陽光発電による収入が見込める。太陽光発電は産業を活性化させる可能性も秘めている。
ソーラーパネルに覆われた大地が、日本の原風景になる日が来るかもしれない。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2015年8月21・28日号