この夏の甲子園出場校の選手たちに謎の名前がある。現地のフリーライター・神田憲行氏が取材した。
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今年の3年生には1998年生まれがいる。と書いて高校野球ファンなら反応するだろう。松坂大輔投手擁する横浜が甲子園の春夏連覇を遂げた年である。
松坂の「大輔」は早稲田実業・荒木大輔の「大輔」に由来しているのは有名な話だ。では今年の「大輔」選手はどうなのか。
出場校49校の全選手882人中、「大輔」選手は6人いる。松坂に由来しているのだろうか。
「はい、松坂さんの名前から付けたとお母さんから聞きました」
というのは、花咲徳栄の岡崎大輔選手。
「おじいちゃんが熱心な高校野球ファンだったので、たぶんおじいちゃんから勧められたんじゃないかなと思います」(岡崎選手)
上田西の関口大輔選手も、
「中学のとき自分の名前の由来を聞く宿題があって、そのとき松坂さんから取ったと聞きました。お父さんが高校野球ファンなんです」
一方、「大輔」選手ほど多くはないが、目立つのが「翔」選手だ。4人いる。「翔」選手は毎年いるが、特徴的なのが、「翔」と書いて日本ハムの中田翔選手のように「しょう」と読ませずに、全員が「かける」と読ませるのだ。なぜなのか、取材すると意外な名前が挙がった。
「キムタクのドラマの役から取ったと母から聞きました。その役の名前が『翔』と書いて、『かける』と読むんです」(花咲徳栄・河上翔選手)
「天高く駆けていくという言葉の意味と、キムタクのドラマから取ったと母が笑いながら教えてくれました」(鹿児島実業・柿迫翔選手)
なんと、木村拓哉由来だったのである。そのドラマは1996年にTBS系で放映された「協奏曲」で、木村拓哉は「貴倉翔」役として、宮沢りえ、田村正和らと共演した。平均視聴率約24%という人気ドラマだった。
「人気のあったドラマなので、子どもに『翔』って子どもにつけた人が多いと母が言ってました。秋田商のエースの成田君も『翔』なので、僕は同じ理由じゃないかと思ってます」(河上選手)
全員が松坂由来、キムタク由来かはともかく、全然重ならない松坂とキムタクが甲子園で並んでいるのが面白い。
自分の名前の由来を知って、選手たちは、
「やっぱり松坂さんからの名前と知って、練習に力が入りました。甲子園に出られて、親孝行が出来たと思っています」
と関口大輔選手は嬉しそう。一方、河上翔選手は照れた。
「顔がキムタクと全然違うので親に申し訳ないです」
いや河上君、そこは恐縮しなくてもいいと思うぞ。