この8月1日、介護保険制度が改正され、一律1割だった介護保険の利用者負担が、一定の所得がある人を対象に2割に倍増した。今後はより一層、賢く介護保険制度を使うことが重要だ。
介護保険を利用する手続きは、本人や家族が市区町村へ申請することから始まる。その後、自治体の職員やケアマネジャーが訪問調査を行い一次判定、さらに複数の専門家による介護認定審査会で二次判定され、最終的な要介護度が決まる。
「高齢者は午前中は元気でも、夕方になると疲れが溜まり、介護に労力が必要になる。早起きだからと午前中に調査を受けると元気に振る舞ってしまい、現実よりも軽度に受け取られることも多い。夕方に調査の予定をいれたほうがいい」(自治体関係者)
調査員の質問に対して「はい・いいえ」で簡単に答えると、思わぬ落とし穴がある。
「たとえば、“歩けますか?”という質問に“YES”と答えると、本当はすり足でようやく歩ける程度なのに、スタスタ歩けるのと同じ『歩ける』という判定になる。本人が歩く姿を調査員に見せ、特記事項に実態を書いてもらうべきです」(ケアマネジャー)
本人にも、頑張りすぎず、ありのままを見せるよう伝えておくことも大切だ。また、普段はいない家族が立ち会うのもNG。介護者が多くて安心だと判断され、要介護度が低くなることもある。
二次判定を行う介護認定審査会では大量の申請書を処理する。1人あたりの審査時間は短く、調査員の一次判定通りに決定するケースが多い。
「ところが、認知症の場合においては、『主治医意見書』にその旨が記載されていれば、ランクが上がるケースも少なくありません」(自治体関係者)
要介護度の認定の際には、主治医意見書が必要だ。かかりつけ医に書いてもらう際には、しっかりと症状を書き込んでもらうと、実態に則した判定になりやすい。
さらに、大学病院など認知症の専門医がいる病院で診断書を受け取り、かかりつけ医に渡して意見書を作成してもらうところまでできれば完璧だ。
要介護度の判定後はできるだけ安価で質の高いサービスを受けたい。“キーマン”は介護サービスのプランを作成するケアマネジャーだ。
「介護保険は制度変更が多く、地域ごとに運用もまちまち。所属するケアマネが多い事業所のほうが情報収集能力が高く、制度を上手に使っている。
また、ケアマネと本人との相性が悪かったり、意思疎通がうまくいかない場合でも、複数のケアマネがいる事業所であればすぐに交代してもらえる」(前出・ケアマネジャー)
※女性セブン2015年8月20・27日号