中国の富裕層の間では南極や北極の旅が人気になっている。旅費は12日間のコースで20万元(約400万円)で、フォークランド諸島観光などを含む20日間のコースは30万元(約600万円)だが、中国人観光客の数は年々ウナギ上りだという。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が伝えた。
南極を訪れた中国人観光客は10年前の2004年は99人だったが、2014年には3042人と30倍以上と急増。今年は4000人に手が届きそうだという。
国別では米国の1万2000人が最も多く、次にオーストラリア、英国で、中国は第4位に急浮上している。
上海の胡潤旅行社の南極ツアーに参加した291人の中国人旅行者のアンケート結果によると、これらの中国人観光客は少なくとも1000万元(約2億円)以上の資産をもち、過去1年間で費やした旅行代金は3万ドル(約370万円)以上というリッチな人々だ。「超富裕層」と言ってもよいだろう。
同紙によると、広東省広州から参加した60歳の張氏は今年2月、香港から航空便で30時間以上かけてアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに到着。さらに翌日、飛行機で南米大陸の最南端まで行き、そこから船に揺られること1週間かけて南極に到着。
張氏は「南極に行くことが生涯の夢だった。皇帝ペンギンも見ることができたし、本当に楽しい旅だった」と満足気に語っていたという。
南極や北極への旅行を手掛ける旅行会社によると、この2~3年で南極を訪れる観光客は倍増しており、胡潤旅行社のツアー参加者は12歳から74歳までで、幅広い年代に人気だ。
ネット上では「習近平が最高指導者になってから、反腐敗キャンペーンやぜいたく禁止例で、富裕層は肩身が狭い思いをしており、南極や北極旅行はその反動が出たのではないか。これらの富裕層はどうせろくな事をしていないだろうから、逮捕されて没収されるのならば、捕まる前に派手に使ってしまおうという意識も働いているに違いない」との皮肉混じりの書き込みがみられる。