残暑厳しい今の季節は熱中症患者が大量に搬送され、救急隊員は多忙を極めている。しかし救急搬送を求める人の中には、理解不能の患者がいるのも事実。それは女性とて例外ではない。兵庫県の消防署に勤務する救急隊員が明かす。
「腰痛で立ち上がれないという通報で駆けつけ、整形外科に搬送して診察を受けさせたところ、女性の下半身から赤ちゃんが顔を出していたということがありました。女性は出産だということに気づいていなかったようで、すぐさま産婦人科に転送しました。
他にも、駅のトイレで踏ん張ったら赤ちゃんが出てきてビックリした、なんていう女性もいましたね。『太っていて妊娠に気づかなかった』と本人はいっていましたが……」
もう一つ女性の事例で多いのは、「指輪が抜けなくなった」というものだ。
〈たいていの場合は、石鹸水か水溶性潤滑剤で指の表面を滑りやすくして指の皮膚を近位方向に牽引するだけ(後略)〉
とあるように、大事になることは少ない。しかし、捻挫やむくみによって指が腫れると、血液やリンパの流れが阻害されてさらに腫れが酷くなることもある。実際に処置したことのある、都内の消防署勤務の救急隊員の話。
「『むくみが酷くて指輪が抜けない』という通報を受けたことがあります。話を聞くと、単に太ってしまったことが原因のようですが、そこは“太った”とはいいたくない女心があるようです(笑い)。
ほかにも、久しぶりに結婚指輪をしたら、結婚時より太ってしまったので抜けなくなった、という事例もあった。重篤な症状でなければ、医者や看護師ではなく、私たち救急隊員が専用の『指輪カッター』を使って対処することもあります」
万が一のとき、体面よりも健康を優先すべきなのはいうまでもない。
※週刊ポスト2015年9月4日号