今、生命保険の主役は「女性」だ。もともと生保といえば、一家の大黒柱の夫が万が一に備えて加入するのが一般的だった。だが、5年前に新規契約者の割合が男女で逆転した。
理由の1つは女性の社会進出が進み、経済力が上がったことだ。今や女性が家計を支えることも珍しくない。もう1つは、売れ筋の商品が「死亡保険」から「医療・がん保険」に移ったことだ。
かつて生保の主流は死亡保険だったが、少子高齢化で子供のいない家庭や単身者が増え、契約者が減った。困った生保業界は「生きている間のリスク」を宣伝し、医療・がん保険の営業に力を入れ始めた。すると、今まで加入していなかった女性たちがこぞって保険に入り始めたのだ。
女性に「商機あり」とみた生保業界は「女性特有の病気に備える」を売り文句にして、女性専門の保険を次々に売り出し、業績を伸ばしている。
そもそも、死亡保険とはなにか?
「生命保険はわかりにくい」という印象があるが、それは他社の商品と比較されないように保険会社があえてわかりにくく商品を設計しているからだ。
だが、基本さえ押さえれば仕組みは単純。毎月、保険会社に支払うお金を「保険料」、支払う期間を「払込期間」、保障の対象となる人を「被保険者」、何かあったときに受け取れるお金を「保険金」、受け取る人を「保険受取人」、受け取れる期間を「保険期間」という。
生保は大きく分けると「死亡保険」と「医療保険」の2種類しかない。家計を支える働き手が亡くなったとき、遺された家族が保険金を受け取る保険だ。タイプは主に3つ。「定期保険」と「終身保険」と「収入保障保険」だ。それらを組み合わせた商品もある。以下、「死亡保険」の解説だ。
<定期保険>
「保険料を払っている10年の間に死亡したら1000万円を支給する」など、保険期間が定められた死亡保険。途中で解約したり、満期になっても返戻金がない、いわゆる「掛け捨てタイプ」だ。
<終身保険>
保険期間は一生涯で、死亡したら保険金を受け取れる保険。必ず保険金が下りるが、定期保険に比べて保険料が高いのが特徴。掛け捨てではなく、解約した場合には返戻金を受け取れる。
<収入保障保険>
一家の働き手が死亡もしくは高度の障害を負った場合、一時金ではなく、「毎月5万円」「毎月10万円」など、家族の生活費の不足分を分割して保障するタイプの保険。近年登場した新しいタイプ。
一方で、「医療保険」とは、病気やけがのリスクに備える保険。治療を受けたときに保険金を受け取れる。入院時の差額ベッド代や、高額な医療費の負担に備えることができる。
<がん保険>
医療保険の一種。がんと診断された場合、またはがんで入院、手術した際に保険金を受け取れる。
死亡保険と同様に、保険料の支払い期間だけ保障される「定期がん保険」と、保障が一生続く「終身がん保険」がある。また、先進医療など高額な治療に備えるための「先進医療特約」などのオプションがある。
※女性セブン2015年9月10日号