著述家の湯山玲子さんは、日曜朝の人気番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)に注目していると語る。
「『ワイドナショー』は出てきた人たちが自由に本音を言う、ガチなところがすごい。特に安保法制についての松本人志と中居正広の対論はみものでした。出演者は横一列に並んでいますが、それも“同じ立場でものを言っていい”というメッセージとして受け止められますね。発言が問われるいわば“見るラジオ”です。
かたや(同時間にオンエアされる)『サンデージャポン』(TBS系)は成熟したワイドショー芸。自由というより役割の発言や話術を堪能するいわばプロレスみたいなものですよね」
『ワイドナショー』は、台本のない対論がテーマや相手を変えて毎回行われている。
お笑い評論家の難波義行さんも『ワイドナショー』を高く評価しているひとり。この番組は、100点に近い完璧なものを見せてくれる可能性を感じると言う。
「『サンジャポ』は安定していて、落ち着いて見ていられる。打率は高くて、8割とか9割もいける。だけど100点はない。その点、『ワイドナショー』には100点に近いものを見せてくれる可能性があるんです」
100点、それは真剣さが生み出す予想外の名言だという。東野幸治や中居らが、松本とゲストの対比構図をうまく出す。バラエティーやトーク番組では触れにくいような話題が堂々と語られるのも『ワイドナショー』ならではだ、と難波さん。
「長渕は戦争の話をしたけど、あれは勇気が必要だったと思う。デリケートな問題だけど、完全に語っていたからね。それが許されるのがあの番組の存在意義。そうやって自由に話せるから、名言が生まれてヤフーニュースに流されるんですよ」
『ワイドナショー』派がどちらかと言えば批判的に使う『サンジャポ』=プロレス説。そんな『サンジャポ』の「プロレス的なところが好きだ」という声も多い。コラムニストの石原壮一郎さんはこう力説する。
「『サンジャポ』からは、ニュースをどう面白く扱おうかという情熱が感じられます。サンジャポジャーナリストの突撃インタビューも、ただマイクを突きつけているだけなのに面白い。それはワイドショーをパロディー化しているわけで、その域に持っていくために、出演者がそれぞれの役割をプロレス的に果たしているんです。
あえて冴えない感じの男女が集まってますよね。わざわざ不器用でモテなさそうなキャラの人たちが色恋沙汰のネタを突っ込んだり。アイドルの前では非常に饒舌になって自分の思いを切々と語って、で、どうですか?とか。爆笑の太田さんと田中さんのやり取りも本当に絶妙で美しいコンビ愛を感じますね」
※女性セブン2015年9月10日号