一家の大黒柱が突然、倒れたらどうしよう――そんな不安から夫に「死亡保険」の加入をうながす女性は多い。だが、「すべての家庭に必要なわけではない」と言うのは、保険相談室代表の後田亨さんだ。
「そもそも、子供がすでに独立している家庭には養育費がかからず、死亡保険などいらないケースがほとんどです。子供が独立しているのに数千万円もの死亡保険をかけて、高額な保険料を払い続けることはお勧めできません」(後田さん)
子供が独立していない家庭では、子供の年齢に応じた死亡保険を選ぶべきだ。たとえば子供が大学生なら独立するまで残りわずかな期間なので、子供が小中学生の場合より、少ない額が支払われる死亡保険を選びたい。そうすれば、月々の保険料を抑えられる。
死亡保険に加入していなくてもサラリーマンの家庭ならば、夫が死亡したら、国や企業から手厚い保障が用意されているケースが多い。
「遺族年金の金額の確認は不可欠です。夫が厚生年金に加入していれば、相当な金額を受け取れます」(後田さん)
遺族年金の基本金額は年額約80万円、子供1人につき約20万円加算される。妻、子供2人の場合、月におよそ10万円となる。また、夫が会社員だったら、夫が受け取る予定だった厚生年金額の4分の3が妻に対して一生涯、支給される。同様に夫が会社員ならば、勤務先の企業から弔慰金や死亡退職金が遺族に支払われる。
住友生命保険の調査では、全企業のうち約95%が弔慰金制度、約80%が死亡退職金制度を導入している。ほとんどの企業が導入しており恩恵を受ける家庭も多いはずだ。支払われる金額も予想以上に多い。勤続25年の従業員が死亡したケースでは、弔慰金は平均418万円、死亡退職金は平均901万円が遺族に支払われる。
サラリーマン夫の遺族の「手厚い保障」、その内容は、以下の通り
※世帯主が50才(勤続25年)、子供2人(10才、12才)の世帯で、世帯主が死亡した場合の平均額
【遺族年金】年額123万9100円
【弔慰金】418万円
【死亡退職金】901万円
【遺族育英年金】年額96万円
【団体信用生命保険】住宅ローンの残債がゼロに
※女性セブン2015年9月10日号