保険選びで見積もりを取り、数社の商品を比較するとあることに気づく。まったく同じ保障内容の商品でも、保険会社によって保険料が全然違う――。
本来、加入者の性別や年齢、健康状態が同じであれば、死亡するリスクも、病気や入院するリスクも同じはずだ。なぜ保険料に差があるのだろうか。その秘密は保険料の仕組みにある。
保険料の内訳は大きく2つに分けられる。
1つ目は「純保険料」だ。これは加入者に保険金を支払うためにどうしても保険会社が集めなければならない必要最低限の金額を指す。どの保険会社が計算しても日本人の死亡率や病気の罹患率は一定なので、この金額には会社ごとに差はない。
2つ目は「付加保険料」だ。これは保険会社の利益や経費をまかなうための金額で、この中から、保険会社の社員の給料や販売代理店の販売手数料、オフィスの賃料、営業のためのパンフレットやCMなどの制作費が支払われることになる。
つまり、保険料に差がある理由は、それぞれの保険会社が商品を売るための「経費=付加保険料」が違うから、保険料に差が出るのだ。生保業界は長い間、そうした保険料の内訳を公表してこなかった。ところが、2008年に業界初のネット生保であるライフネット生命が初めて生命保険料の内訳を開示した。
「ライフネット生命の商品の付加保険料が保険料全体に占める割合はおおむね20%台でした。これをライフネット生命と同じ保障内容の大手生保商品と比較すると、大手生保の付加保険料の比率は70%に達することもあります」(保険相談室代表の後田亨さん)
一般に、営業マンや生保レディーによる対面販売を基本とする大手生保の商品は保険料が高くなり、ネットや通販でしか販売されない商品は安くなる傾向がある。その理由は単純に営業コストの差といっていい。その分、保険料の高い会社は親身な接客やアフターサービスを売りにしているが、それだけのために高い保険料を払うべきなのか、よく考えるべきだろう。大手生保社員が明かす。
「社内の販売会議でも“猛プッシュして売ろう”という商品と、“あまりオススメしなくていい”商品がある。前者は付加保険料が高くて利益率がいいから、売れば売るだけ儲かる。一方、後者は大手生保として商品の幅をもたせるためにラインナップする必要はあるが、付加保険料が安くて利益率が低いので売りたくない。逆にいえば、そういう商品こそ、お客さんが得する商品なので、オススメすべきなんでしょうけどね」
「人気ナンバー1」という商品こそ、注意すべきなのだ。
※女性セブン2015年9月10日号