安倍政権が地方創生の目玉として発行している「プレミアム商品券」。だが、全国の地方自治体では、プレミアム商品券目当てに長蛇の列ができて熱中症で救急搬送される人が出るなどのパニックも起きている。
さらにはプレミアム商品券をめぐり、全国各地で不正利用が疑われるような行為が横行、住民から非難の声が続出している自治体もある。
1冊1万円で1万2000円分(1000円券12枚つづり)のプレミアム商品券を発行する熊本県八代市では、代理購入制度を利用し、1人で600万円分を購入した人物が現われて大問題に。
「八代市が発行する『スーパー元気券』は、1人が購入できる上限は10冊ですが、委任状さえあれば家族や知人の分も1人あたり10冊まで購入できるようになっていました。この代理制度を利用して、62人分もの代理購入をした人が出てきたのです」(八代市スーパー元気券事業推進室)
そのせいで購入できなかった人が続出。「1人で何百冊も買うのは不公平だ」といった市民からのクレームが殺到した。この人物が商品券を何に使ったかは不明だが、鳥取県でプレミア率の高い商品券がネットオークションに出品されるなど、「転売」して稼ぐ人は後をたたない。
「先着順だと、当日都合のつく人や現金を手元に持っている人しか買えない。年金生活の高齢者は、体力も気力もカネもないから最初から列に並ぶのを諦めている。僕の知人はそこに目をつけて、1万円で買った1万2000円分の商品券を、1万1000円で高齢者に売りさばいていたよ」(大阪府在住男性・72)
茨城県常陸太田市では、重複購入が禁じられていたにもかかわらず、現職の市議とその妻が合計75セット、プレミアム分を合わせて90万円分の商品券を購入。その商品券で車を買う直前にコトが発覚した。
しかもその市議は「元市職員で、商品券を管轄する産業部長の地位にあった」(商工振興・企業誘致課)というから呆れるばかりだ。
※週刊ポスト2015年9月11日号