芥川賞を受賞した『火花』(文藝春秋刊)が累計200万部を突破するなど、今やお笑い界のみならず文壇でも大ブレイクを果たしたお笑いコンビ・ピースの又吉直樹(35)。漫才師、小説家、俳人といった多彩な才能への評価が急上昇しているが、そもそも、関西の強豪北陽高校サッカー部でレギュラーを務めるほどの運動神経、そして「よしもとオシャレ芸人ランキング男性芸人部門」で第1位に輝くファッションセンスなど、又吉の注目点は数多い。
その一方で危機感を抱いているといわれるのが、相方の綾部祐二(37)だ。又吉との「格差」が指摘されるようになり、メディアでも相対的に綾部の存在感が薄くなっているような印象を持たれがちだ。だが実際は、そうでもないようだ。テレビ局関係者が語る。
「番組に起用する側がらすれば“大先生”になってしまった又吉よりも、イジられることで笑いに変えることのできる綾部のほうが重宝しますよ。もちろん、又吉が画面に登場すれば引きは強いですが、人気作家である又吉をどこまで“お笑い”として演出していいか、制作サイドにとっても悩ましい。
ところが、綾部がいれば安心して、お笑いコンビ・ピースとして笑いの形を作ることができる。今ほど綾部の存在感が増しているタイミングもないのではないでしょうか?」
ピース結成前はピン芸人として活躍していた綾部。フジテレビの深夜に放送されていた『トーキョープラズマボーイズ』では、ビビる大木、品川庄司といった先輩芸人にひるむことなく存在感を見せつけ、一人でも笑いを取れることは立証済みだ。綾部の当時を知る芸人仲間は語る。
「綾部はNSC東京の5期生時代は、『スキルトリック』というコンビで活躍していましたが、当時から圧倒的な華がありました。同期の中でも、『綾部は絶対に売れる』といわれていましたからね。
今ではMCやツッコミを担当し、ときにイジられることもある綾部ですけど、NSC時代は変幻自在なキャラクターとぶっきらぼうな物言いが天才的なボケキャラでした。全盛期の木梨憲武さんのボケ方に近かったと思います。コンビのネタも彼が作っていましたし、存在感は群を抜いていた。
又吉は“小説”という伝家の宝刀を抜いた感がありますが、綾部はまだまだベールを脱いでいない底なし感がある。お笑いに関しては、又吉ではなく綾部こそ、今後“大化けする”存在だと思いますよ」