お友達で固めた安倍晋三政権もこのところ側近たちが、失言や責任逃れ等の問題を起こすケースが目立っている。第一次安倍内閣時、郵政造反組から特例で復党させてもらった恩のある衛藤晟一・首相補佐官(67)は米国相手に要らぬ喧嘩を売って問題となった。
2013年12月の安倍首相の靖国参拝に米政府が「失望」を表明した際、「我々の方がdisappointed(失望した)という感じだ」と述べる動画をユーチューブに投稿。後に「誤解を与えるなら」と渋々発言を撤回して動画を削除した。
茂木敏充・自民党選挙対策委員長(59)は今年1月の佐賀県知事選をはじめ地方選で連戦連敗。挙げ句、8月20日に告示された岩手県知事選では、劣勢を気にしてか対立候補を取りやめる「不戦敗」で、逃げの姿勢を見せた。
安倍首相の側近中の側近である萩生田光一・党総裁特別補佐(52)は2014年11月、衆院選関連の報道について「公平中立」「公正」を求める文書を在京民放キー局に送付し、「報道機関への圧力」として大きな問題となった。
総理の側近たちは「メディアへの圧力」で何度もドジを踏んでいる。萩生田氏と加藤勝信・官房副長官(59)が中心となって今年6月に開いた安倍首相を支持する自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」では、出席者から「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番」など報道機関を威圧する発言が相次いだ。
最後に登場するのは、首相の盟友だった中川昭一・元財務相(故人)の妻である中川郁子・農林水産政務官(56)。今年2月23日、西川公也・農水相(72)が政治資金問題で辞任したその夜に自民党の門博文・衆院議員(50)との「不倫路チュー」姿が『週刊新潮』で報じられた。その後、会期中に都内の病院に突如として入院し、国会を欠席することとなった。
政治評論家の有馬晴海氏が安倍首相の「お友達人事」の問題点を指摘する。
「最初の政権時も政治家としての適性や能力よりもお友達かどうかを基準に集めて失敗したが、そこから全く学んでいない。9月に行なわれる見込みの改造でもお友達から選ぶという話もあるが、それでは政治的な技量のなさを露呈するだけだ」
世耕弘成・内閣官房副長官(52)ら次の大臣ポストを狙うお友達がいるため、党内からは不満の声も挙がっている。このやり方を続ける限り、安倍政権の行く末は安泰とはいえない。
※週刊ポスト2015年9月11日号