宮城県に住む80代女性の自宅に8月下旬、警察官から電話があった。彼は「あなたがお金を預けている金融機関の職員の1人が、実は特殊詐欺犯とグルになっています。被害が広がる前に、皆さんにお電話をしています」と切り出し、このままだとあなたも勝手に預金を下ろされてしまうでしょう、と告げた。
そして、畳みかけるように、「預金を守るためには、お金を全額下ろしてしまう方がいい。ただし、いきなり多額を下ろそうとすると銀行で怪しまれるから、親族が亡くなったことにして、喪服を着て、下ろしに行くようにしてください」と話を続けた。
長年貯めたお金を失っては大変、と女性はすぐに喪服に着替え、銀行に向かった。が、お金を下ろそうとしたところ、不審に思った職員が女性の家族に連絡。詐欺だとわかり、被害を逃れた。もちろん、男は警官ではなかった──。
これは氷山の一角だ。2014年の特殊詐欺の被害額は約565億5069万円で、過去最悪の被害額となっている。警視庁によると認知件数の被害者のうち、約8割は65才以上の高齢者だ。
※女性セブン2015年9月17日号