1万8048人――。
これは、1972年から2013年までの42年間に自殺した18才以下の子供の総数である。 日にち別に見ると、最も自殺者が多かったのは、9月1日の131人。2番目の4月11日(99人)、3番目の4月8日の95人と比べても突出している。
《もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。一日いても誰もなにも言わないよ》
8月下旬に鎌倉市中央図書館の職員が綴ったこんなツイッターが大きな反響を呼んだように、夏休み明けというのは、全国各地で子供の自殺が相次ぐ魔の季節である。
この時期を前に、8月18日、ニュースサイト「不登校新聞」(NPO法人全国不登校新聞社)が緊急号外を発表した。
同サイトではその後、東ちづる(55才)、上野千鶴子(67才)、茂木健一郎(52才)ら複数の著名人の言葉が次々と掲載されたが、中でも最も反響を呼んだのが、樹木希林(72才)の882文字の命のメッセージだった。
《この言葉、一人でも多くの子供に届けて欲しい》
《なんて優しい言葉なんだろう。希望の光になりました》
ネット上でそんな感想が溢れた樹木のメッセージには、古希を超えて悟った生と死の真理が淡々と書かれていた。
《大丈夫。私みたいに歳をとれば、ガンとか脳卒中とか、死ぬ理由はいっぱいあるから。無理して、いま死ななくていいじゃない。だからさ、それまでずっと居てよ、フラフラとさ》(『不登校新聞』より)
樹木の死生観が見事に表れた文章だと、彼女を知る芸能関係者は語る。
「2013年に全身がんが発覚してから、希林さんはいい意味で諦念を持って生きるようになりました。“ジタバタしなくたって、そのうち自動的に死ぬわよ”って…。いまだに手術も抗がん剤治療も受けていませんからね。
無理に生きようとすることも、逆に無理に死のうとすることも、等しく意味がない。そんな考えの希林さんからすると、子供の自殺っていうのはいちばんの悲劇なんです。“ほっときゃいつか死ぬのに、なんでこんなに急ぐのよ…”って。今回のメッセージには、希林さんのそんな想いが詰まったものでした」
学校が嫌なら別の場所に行けばいい。フラフラしていれば、生きる場所はそのうち見つかる。
※女性セブン2015年9月17日号