英国のダイアナ妃、ジョン・レノンらが宿泊したホテルオークラ東京が建て替えのために53年の歴史に幕をおろし、9月1日から別館だけでの営業となった。それに伴い、本館に店を構えていた名だたる高級飲食店も別館に引っ越したが、なぜか明かりの灯らないテナントがある。2階の奥に位置する高級寿司店『銀座久兵衛』だ。ホテル関係者がいう。
「当初は他店と同様に1日からの営業を予定していましたが、未だオープン日は決まっていません。久兵衛がオークラから撤退するという噂も囁かれています」
久兵衛は本館では和食料理店『山里』の一部スペースで営業していたが、移動に伴い、以前よりも広く豪華な店舗が別館に完成済みという。
本誌記者が久兵衛が入る予定のテナントを訪れると、生成りの無地の暖簾が掛かる入り口には「準備が整い次第、久兵衛様に寿司の提供を始めてもらう」という内容の、オークラ支配人名の貼り紙があった。入り口には鍵がかけられ、店内の様子を窺うことはできない。久兵衛の関係者が明かす。
「ホテル側に払うテナント料が、別館への移動と同時に引き上げられたんです。久兵衛の幹部は“それなら銀座に出店したほうが儲かる”と憤慨していた。金銭面で折り合わず、営業を見合わせているようです」
久兵衛に問い合わせると、「今はわかる者がいない」とのこと。一方のオークラ広報担当者はこう答えた。
「詳細は契約内容にかかわるので差し控えますが、(久兵衛と)話し合いを続けているのは確かです」
すでにオークラのHPのレストラン紹介には久兵衛の名前が入っている。両者が手を握る日は近いか。
※週刊ポスト2015年9月18日号