“日本最大の暴力団”山口組の分裂が明らかになり、ネットを含め様々な情報が飛び交っている。日本でもっともヤクザに詳しいライター、鈴木智彦氏が当事者たちからの証言をもとに、ネット情報の真偽をレポートする。
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今回の分裂騒動では、暴力団関係者の情報収集能力に明確な差が生まれた。分裂というお家の一大事では、末端の組員にはほぼなにも知らされないのだ。山口組から処分された組長たちが率いる団体の構成員も、山口組に残った大半も、ネットやマスコミ報道を頼っていたと推測される。事実、新聞報道の後でも、配下に説明が終わっていない組織があった。
千にひとつの信憑性しかないネットでも、SNSだけは無視できない。Twitterで離脱一派の「組長」を名乗る男性が、「東京は血の海になるでしょう」などと書いていたが、本当に組長でもおかしくはない。
というのも、処分された直参組長たちの名前をFacebookでチェックしたところアカウントが見つかり、本人である裏取りもできたからだ。当方のTwitter経由で入手したたれ込みも10件を超えた。
「嘘の情報をネットで流せと指示された。具体的に名前や組織名を出せと言われた」
とある山口組幹部はそう告白する。真偽の判定は、当事者とのホットラインがないと不可能だ。
山口組がなんの書状も出していない分裂発覚直後の段階で、ネットには絶縁・破門状が広まった。急いで裏取りすると、山口組の中枢にはいない周辺者が情報を整理するためにワープロで作成したものだった。それが近親者に渡り、ネットに流れ、拡散されたのだ。これを「本物」として掲載したメディアがあるなら廃業した方がいい。
※週刊ポスト2015年9月18日号