9月3日、中国の習近平指導部が国家の威信をかけて取り組んだ戦勝70周年記念軍事パレードに「唇歯の関係」や「血の友誼」と表現される北朝鮮の金正恩第一書記は参加しなかったが、金氏は中国の強い対抗心を燃やして、10月10日に行われる朝鮮労働党創設70周年の記念軍事パレードについて、「中国よりも規模を大きく、豪華に立派にせよ」と発破をかけていることが分かった。
このため、北朝鮮の軍事パレードには1万2000人の兵士が参加した中国のパレードを2倍以上も上回る3万人の兵士が動員されるという。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
中国の抗日戦争勝利70周年の記念式典には北朝鮮を代表して、金氏の最側近である崔竜海・朝鮮労働党書記が派遣されたが、北朝鮮は軍事パレードには軍隊はもちろん参観団も派遣していない。
今回の軍事パレードにはロシアなど11か国が軍隊を派遣し、31か国が参観しており、最も親密な関係を誇っていたはずの北朝鮮からは最高首脳や参観団などが参加しないのは極めて異例。
北京の外交筋は「この背景には中朝両国の深刻な対立がある」との見方をしている。これは、今年3月に平壌に赴任した中国の李進軍駐北朝鮮大使がいまだに金氏と面会できていないことからもうかがえる。前任の劉洪才大使は2010年3月初めに赴任したあと、1か月もたたないうちに当時の金正日総書記と面会し晩餐をともにしていることからも明らかだ。
当然、金氏と中国の最高指導者である習近平・国家主席との首脳会談も実現しておらず、「もはや同盟国ではなく、敵対国に近い」と同筋は指摘する。
金氏は中国に対抗心を燃やし、3万人参加の軍事パレードを実行するつもりだが、ネット上では「軍事パレードを盛大にやるよりも、飢えた国民を腹一杯にしてやる方が先決。中国の場合、それができているので、金正恩が中国を目の仇にするのは100年早い」などと金氏を皮肉ったコメントが書き込まれている。