宮崎合宿で体をいじめぬいたラグビー日本代表選手たち
いよいよ、その時がやってきた。世界中のファンが心待ちにする4年に1度の祭典──ラグビーW杯が9月18日に開幕を迎える。1987年の第1回大会以来、日本代表はすべての大会に出場しているが、これまで予選突破はゼロ。次回大会の開催国となる日本だが、今回は勝ち抜けるのだろうか? ラグビージャーナリストで『J SPORTS』解説者の小林深緑郎氏が分析する。
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日本代表(ランキング14位)は、決勝トーナメント進出を果たせるか。私の予想は「3勝1敗」の2位通過だ。これまで7回開催されたW杯でわずか1勝に留まる日本代表だが、私は史上初めての予選通過を信じている。
まずは初戦にして予選最強の相手、南アフリカ(ランキング4位)。南アフリカは序盤、密集のサイドを執拗に突いてくるだろう。注意すべきは、その後だ。日本の注意を内に引き付けたところで、彼らはボールを外に展開するだろう。集中力が試されるこの場面で、日本代表の守備の頑張りに期待したい。
そして2戦目のスコットランド(ランキング10位)。この試合の結果が予選通過の可否に直結するといっても過言ではない。試合の鍵は、日本代表が「アタックシェイプ」を実行し続けられるか、どうか。
アタックシェイプとは、最初にパスを放るスクラムハーフの周囲に複数のレシーバーを走り込ませ、ボールの受け手が誰なのかを予測しがたくする撹乱戦術だ。これを維持し続けられれば、スコットランドは、日本の多彩なオフェンスに手を焼くに違いない。
3戦目のサモア(ランキング12位)に勝利するためには、日本代表のキャプテンを務めるリーチマイケルを中心にしたバックローの奮闘が欠かせない。力強さを前面に出してくるサモアの攻撃の出端をくじくことが肝心だろう。
最終戦のアメリカ(ランキング16位)もフィジカルの強いチームで油断はならない。勝負に絶対はないのだ。だからこそ、私の予想は「3勝1敗」。当たって悲しい気持ちになるなら、予想などする意味がない。大いなる希望を込め、日本代表が世界を驚かす歴史を創ることを信じたい。
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2015年9月18日号