ラグビー日本代表を指揮するエディー・ジョーンズ氏
4年に1度の祭典・ラグビーW杯が9月18日に開幕する。日本代表はこれまで開催された7大会すべてに出場しているが、そこで上げた勝利数はわずか1つ。今回、日本代表を率いるエディー・ジョーンズ氏は、先達たちと何が違うのか? ラグビージャーナリストで『J SPORTS』解説者の小林深緑郎氏が解説する。
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1990年代以降に代表監督に就任した平尾誠二(1997~2000年)は、従来の日本代表の長所だった機動力で勝負するスタイルを模索したが、世界レベルのパワーの前に完敗した。
他方、ジョン・カーワン(2007~2011年W杯まで)は大柄な選手を数多く選抜し、日本代表の身体的な平均サイズを上げたが、肝心なパワーの差はむしろ広がって日本代表は苦境に陥った。
その状況を劇的に変えたのが、2011年のW杯後から現在まで指揮をとるエディー・ジョーンズである。エディーは日本人の俊敏性を活かすラグビーである「JAPAN WAY」を実現するため、世界最強度のフィジカル鍛錬と、スクラムの強化に取り組んだ。その結果、ついに昨年、ワールドラグビー(WR)ランキングで史上最高位の9位につけ、本年のW杯に臨むことになった(現在は14位)。
代表の精神的支柱ともいえる大ベテラン・大野均のもと、世界最高峰のリーグ・スーパーラグビーでも活躍したフッカーの堀江翔太を擁するFW陣。ジョン・カーワンから「童顔の暗殺者」の異名を冠されたスクラムハーフの田中史朗、正確無比なパスを操るスタンドオフの立川理道、センター、ウイングまでこなすマルチプレイヤーの松島幸太朗、ワールドクラスのプレースキッカーのフルバック五郎丸歩などタレント揃いのBK陣は、世界屈指のラグビー大国・南アフリカ、古豪スコットランドと激突する予選プールBを如何にして戦い抜くのか。すでに今、私の手は興奮で震えている。
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2015年9月18日号