ベルギーの劇場ロゴと酷似しているとの指摘を受けたことを発端に、最終的に取り下げという結果となった、佐野研二郎氏のデザインによる2020年東京五輪のエンブレム。五輪に関するロゴについては、過去にもある騒動があった。
白紙撤回された翌日の9月1日、来年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)のロゴマークを選考する会合の座長にクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏(50才)が就任したことがニュースになった。佐藤氏はユニクロのロゴマークなどを手がけ、“広告の神様”とも呼ばれる、日本を代表するデザイナーのひとり。佐野氏が広告会社・博報堂に勤めていた時、師事していたのも佐藤氏だった。
全国紙記者が声を潜めて言う。
「実は佐藤さんも過去に日本オリンピック委員会(JOC)のエンブレムを巡って騒動を起こしているんです」
それは2011年のこと。アニメやファッションなど日本発の文化産業を海外に売り込む、政府の対外文化政策『クールジャパン』のロゴマークを佐藤氏がデザインしたのだが、これに疑惑の目が向けられた。
1993年にデザイナーのコシノジュンコ氏(76才)が「対極」というコンセプトのもとデザインした、JOCの第二エンブレムに「そっくり」と指摘されたのだ。
「当時、ツイッターでは“どこかで見たことがあると思った”“ほんと似ている”などのつぶやきが相次ぐ一方、“似ていない”“許容範囲では”と賛否両論が巻き起こりました。
その後、あるパーティーで、コシノさん本人が、時の首相だった民主党の野田佳彦氏がクールジャパンのバッジをつけているのを見て大激怒。“これはどういうこと?”と大変な騒ぎになったのです。
新聞でも取り上げられる事態となり、クールジャパン事務局は『JOCのマークは把握していたが、類似商標にはあたらないという専門家の判断だった。すでに商標申請をしているので手続きを進める』と公式にコメントしました。一方、JOC側は『近く対応を協議する』と明言を避けました」(スポーツ紙記者)
しかし、なぜかここで一切の情報がぷっつりと途絶えてしまう。コシノ氏を知る人物がこう振り返る。
「JOCも政府もなんとかコシノさんの怒りを鎮めようと必死だったそうです。いろんな人が出て来てコシノさん側をなだめて、そうこうするうちに結局うやむやにされてしまった…。そして佐藤さんのロゴマークはいつしか姿を消しました」
伊勢志摩サミットのロゴマーク選考の座長に就任した佐藤氏は、“弟子”の佐野氏が起こした騒動に幕引きするかのように「透明性と公平性に重点を置く。国民に愛されるマークになってほしい」と話している。しかし、前述した一件を知るコシノ氏の周りは、佐藤氏への不信感を募らせているという。
「だって佐藤さんは、最後までコシノさんに経緯説明を直接しなかったそうなんですよ。ニュースにもなったのに、公にもあの一件についてなんの説明もしないまま今に至るんですから」(前出・知人)
佐藤氏の事務所にコメントを求めるも、「スケジュールが立て込んでおり取材にご協力できません」とのことだった。
※女性セブン2015年9月25日号