世界16連覇、個人戦200連勝を達成し、来年のリオデジャネイロ五輪出場をほぼ手中にした女子レスリングの吉田沙保里。今回の世界選手権が行われているラスベガスに集まった取材陣から、強いだけでなく取材への対応も素晴らしいと絶賛されている。
「来年のリオ五輪予選ということで、初めてレスリングを取材しているのですが、レスリング選手がこちらの素人丸出しな質問にもいやな顔ひとつせず答えてくれることに驚きました。吉田さんなんて、何百回と同じことをきかれているだろうに、うんざりという表情すらしない。
スポーツ選手を取材するとき基本的なことをきくと、露骨にいやな顔をする選手もいます。『ウィキペディアを見てくださいよ』と言われたこともあります。質問の大半に『話したくないんで』としか返さない人も。ウィキペディアはあてにならないし、確認も兼ねた質問なんですけどね。国民栄誉賞をもらっている吉田さんがこれだけの対応をしているのに、なんでわざわざ不愉快な態度をとるんですかね」(全国紙のスポーツ担当記者)
吉田のような態度の対極にあるのが、すべてではないがプロ野球選手だとスポーツ担当記者たちは口々にいう。なかにはギャラ(出演料)が発生しない取材は受け答えしなくてもかまわないと指示する球団もあり、試合後の囲み取材すらあからさまに嫌がる選手も。取材にだけでなくファンへの対応が素晴らしいプロ野球選手が話題になるのは、そうでない選手が少なくないからだ。吉田の対応は、彼らに並ぶ神対応ぶりだ。
さらに吉田がぬきんでているのは、失礼だと怒り出すかもしれない問いかけにも、ときには笑いを交えながら受け答えする懐の深さだ。
「世界選手権前の女子レスリング全日本合宿取材公開日が、ちょうど女子サッカーの澤穂希さんが結婚を発表して間もないときでした。当然、吉田さんにも同様の質問が出ます。すると『(交際男性が)いないって知ってるくせにぃ(笑)。だからって男が嫌いなわけじゃないですからね。好きですからね!』とリップサービスまでしてくれる。あんなにいい子なのに、なんで彼氏ができないのかわからないですよ」(スポーツ紙記者)
五輪4連覇というとんでもない記録を達成したとしても、吉田沙保里の神対応は変わらなさそうだ。