1997年の神戸連続児童殺傷事件の犯人・酒鬼薔薇聖斗こと元少年Aが、マスコミ各社に文書を送り、自らの世界観を誇示する「公式ホームページ(表題は『存在の耐えられない透明さ』)」の存在を明らかにした。HPでは自らのプロフィールと自著『絶歌』の自己宣伝が記されている。そして、Aの自己顕示欲は自作の作品を掲載した「ギャラリー」に象徴される。
アップされたイラストや写真は全87点。イラストは原案のラフ、完成した下書き、彩色した完成作と、制作段階ごとに見せているが、いずれも一般人には理解不能な「倒錯アート」と言うほかない。
全裸、自慰行為、ナメクジをテーマ、モチーフにした数々の写真は目を背けたくなるものばかりだ。
まず衝撃を受けるのが黒い覆面で顔を隠したA本人と思われる全裸写真だ。厚い胸板に割れた腹筋というマッチョな体型は、少年院時代にひたすら筋トレに励んだという『絶歌』(今年6月に出版した少年Aの手記)で明かしたエピソードを想起させる。
特に驚愕させられるのが〈射精する瞬間にはいつも“激痛”が伴った。それは後年になっても続き、「射精に激痛が伴う」ということだけは精神科医に話したことがある。医者は「性欲に対する罪悪感の表れ」だと言った〉という『絶歌』の引用文とともに掲載された、Aの局部が大きなエイリアンのような物体になっている“自慰写真”だ。犯罪心理学者の矢幡洋氏は言う。
「Aは自身の犯罪は性欲の歪みが影響していると考えている。局部の“巨根”は、“性欲とは制御できない大きなものだ”ということを、局部の“化け物”が自身の方を向いて口を広げているのは、“性欲は恐ろしいものだ”ということを表現していると思われます」
もうひとつ、矢幡氏が注目したのは、太陽と月の間に半裸のAが仁王立ちしている写真だ。これはAが犯行時に綴ったメモに描かれていた「バモイドオキ神」のイラストに酷似している。
「当時のイラストでは、太陽と月の間にバモイドオキ神を描いた構図でした。だが、今回はその位置に自分の体を置いている。これは“自分は神になった”というメッセージなのかもしれません」(同前)
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号